ラム さん (金沢工業大学大学院)

 石川県では、北陸新幹線の開通による観光客の増加から、今後様々な経済効果が期待されている。
しかし、同時に新幹線の開通が、新たな高架橋を生む。高架が街を分断することで、都市の裏側をつくってしまう。
多くの高架下では、殺伐として無機質でヒトを寄せつけない空間が生れている。高架は都市の景観を魅力的にしているとは言えない。
しかし、高架下空間は都市に残された残余空間であり、有効活用することでこの空間の持つポテンシャルを引き出すことが出来る。
それは利便性だけではなく、この空間でしか感じられない猥雑さや虚構さであり、
それが高架下特有の「在る様で無い空間」を生み出している。

 虚構とアートは切っても切れない関係にある。アートが虚構に頼っている面は大きい。
高架下という虚構の空間に、アートを創作するスタジオを、高架に寄生させる形で投入する。
高架下空間という都市の中の「地」でありながら、「図」よりも広大な空間を持つ場所に、まるで鳥の巣が寄生するように建築を寄生させる。
それはアーティストの卵が、自らのサクヒンを完成させるまでの仮設的なモノであり、アーティストはそこにいた痕跡を残し、ここを巣立つ。
創作活動や発表の場が少ないアーティストの卵たちのプラットホームになるような建築を計画する。

 至る所に「スキマ」を設ける。この「スキマ」は大小様々な大きさがある。「スキマ」があると入ってみたい。
狭い路地に入ってみたい。建築と建築の間に出来る空間が他とは違うモノになる。中には一見無駄にも見えるスキマもあるが、
この非合理的・非生産的な空間こそ創造性を刺激する。

 本計画では、都市の残余空間であった高架下から「都市に・地域に対して開かれた広場のようなギャラリー・高架橋に寄生したアトリエ」
という提案で、地域を活性化する。